用語解説
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公共部門のデジタル化において重要な10のポイント

民間企業が、デジタル化において、社会全体に多大な影響を及ぼしている状況下で、期待が高まる中、人々は公共部門でも同等の機能を利用したいと考えています。公共部門のデジタル化において重要な10のポイントをご紹介します。

はじめに

公共部門のデジタル改革を図る際に考慮すべき重要な点とは?

民間企業が、デジタル化において、社会全体に多大な影響を及ぼしている状況下で、期待が高まる中、人々は公共部門でも同等の機能を利用したいと考えています。

公共部門のデジタル改革を図る際に考慮すべき重要な点とは

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民間企業が、デジタル化において、社会全体に多大な影響を及ぼしている状況下で、期待が高まる中、人々は公共部門でも同等の機能を利用したいと考えています。

公共部門におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)には、さまざまな特有の課題が伴います。つまり、典型的な官僚主義にとらわれない民間企業からは、使いやすいエクスペリエンスの影響を受けるというだけでなく、公共部門には市民から企業、公務員といった幅広く多様なオーディエンスがいるということが課題となっています。

アクセンチュア社による最新の調査では、各関係役所とのやり取りにおいてデジタル化をさらに進めたいと希望する人の割合が、わずか2年間で、29%から39%へと上昇したことがわかっています。回答者のうち、53%は公共サービスの提供に不満があり、そのプロセスややり取りが直感的だと感じている人は、わずか36%にとどまっています。

この結果は大きな課題であり、公共部門を発展させる製品やプラットフォーム、提携ベンダーを確保することの重要性を提起しています。しかし、ユーザーが要望するエクスペリエンスを実現するには、具体的にどのような方法があるでしょうか。
本ホワイトペーパーでは、DXPで公共部門のさまざまな課題をどのように解決できるかを詳しく説明するとともに、取り入れるべき最も重要な機能についてもご紹介します。
 

 

 

公共部門のデジタル化に必要な10の重要機能

 

あらゆるオーディエンスの全体的なエクスペリエンスを向上させ、公共部門のデジタル化に必要なプラットフォームに必須と考える機能とは、すでに行った投資を最適化するとともに、職員の効率を高めることを目的としたものです。

1. 同一のプラットフォーム上に複数のサイトを作成するマルチサイト機能 

マルチサイト機能は、基本かつ非常に重要な機能であり、短時間で必要なソリューションを構築し、将来的なプロジェクトに向けて、短時間で俊敏性・安定した、性・メンテナンス性を持続性を兼ね備えた方法で開発していく発展するための基盤を築くことができます。
行政機関ごとのサイトだけでなく、職員ポータル、行政サイト、市民ポータルなどのさまざまなソリューションを構築する必要があっても、同一のプラットフォームにすべて構築することで、以下のようなメリットを享受できます。

  • すべてのサイトを一か所で管理
  • サイト間で情報、コンテンツ、資料、アセットを動的に共有できる機能
  • その他既存のレガシーシステムを統合する単一ポイント

2. ITの複雑性を軽減する単一の管理ポイント

世界全体におけるITへの支出は、2023年にはおよそ4兆6,600億米ドルまで増加しています。

IT部門が、企業のデジタル化推進という重大な役割を担っているのは明らかであり、現在、企業は、事業の実現をITに依存しているため、予算の大部分をITに支出しています。したがって、ITチームがより価値の高い業務に専念できるようなツールがあれば、付加価値の提供につながります。そのためには、ITリソースを戦略的なタスクに利用できるよう、優先的にテックスタックの複雑さを軽減することが不可欠です。
ITチームにおける生産性の向上を阻む大きな課題のひとつは、それぞれまったく異なる構成のバラバラなシステムを管理しなければならないという点です。それゆえに、プラットフォーム管理は簡単明瞭である必要があります。管理者は、ユーザー、ロール、さまざまなシングルサインオン(SSO)プロバイダーとの統合、ドキュメントのリポジトリなど、UIを介してプラットフォーム全体を設定できるようでなくてはなりません。単一のプラットフォームでの一元管理によって複雑性を軽減すれば、そのプラットフォーム利用の時間とコストを日常的に節約できます。

3. カスタムデジタルソリューションのスピーディなデプロイメント

公共部門におけるデジタル変革の大部分は、行政機関が、市民や企業などに提供するサービスをデジタル化しつつ、公務員がそのサービスを大規模に管理できるようにするという反復型のプロセスです。それゆえ、カスタムソリューションを構築するコストと労力を最小限に抑えるために、フォーム、ワークフロー、Webhook、アクション、自動通知といった機能が、プラットフォームにあらかじめ組み込まれている必要があります。
アプリケーション開発プロセスの品質を低下させず、かつ、市場においてクラス最高の機能を活用せずに上記を実現することが、大きな課題となっています。この目的を達成するには、下記の理由からローコード/ノーコードの方法を維持することが重要です。

4. ITチーム以外のユーザーでも対応可能なローコード/ノーコード開発

上記の課題に加え、公共部門にとっては、厳しい予算と人材不足が世界的に共通の課題となっています。ローコード/ノーコードアプローチで、短時間でアプリケーションの配信やカスタマイズを行うことで、こうした課題にも対処できます。

ローコード/ノーコードソリューションにより、開発時間を最大90%も短縮できます。
さらに、ITの専門知識をもたないユーザーもITチームに頼らずに、コンテンツ、Webサイト、ランディングページなどを作成できるようにしておく必要があります。例えば、コンポーネントをドラッグアンドドロップするだけで、ページを作成できる機能、また、業務側のユーザーであれば、さまざまな構造化コンテンツ(お知らせ、ブログの投稿、ナレッジベースの記事やイベントなど)を追加できる機能などは必須です。

ページを作成するコンポーネントが多いほど、必要な要素を作成するためのオプションも増えてきます。例として、お知らせ、フォーム、ブログ、検索など他にも多くの機能があります。
Webコンテンツを作成する際、大いに役立つのは、生産性だけでなくユーザーエクスペリエンスも向上させる以下のような標準機能です。

  • 画質を制御する自動管理機能
  • デバイス(電話、ノートPC、タブレットなど)の違いを認識し、アップロードしたメディアをその画面サイズに合わせて最適化されるよう、動的に調整するレスポンシブデザイン機能

また、同様のサイトを短時間で作成できるサイトテンプレートも必須です。つまり、DXPにデフォルトのテンプレートが用意されているだけでなく、個々の目的に合わせたサイトテンプレートも作成できるオプションがあることが重要です。

5. 戦略的アプローチとしてのセルフサービス機能

セルフサービス機能があれば、通常書面や対面で行っていた処理(プロフィールの更新、マニュアル文書やコンテンツの検索、サービスの要請など)をデジタルチャネルを通じて、市民や企業自身で完了することが可能です。

実際、ある調査では、40%の消費者が、対面サービスよりもセルフサービスを好むという結果が出ています。このように、セルフサービスを実現するには、検索機能、フォーム、ワークフロー、レスポンシブ表示といったツール、さらにオムニチャネル、ユーザーが使いやすいエクスペリエンスを備えたツールを導入する必要があります。また、オンラインの場合でも、73%もの顧客が、サポートが必要な時、SNSやSMS、ライブチャットなどよりも企業のWebサイトを利用したいと考えているのです。

簡単に検索できるだけでなく、わかりやすい操作で、正しい情報を提供できるということは、大幅な業務効率化につながります。また、市民サービスセンターへの問い合わせや予約が減少することによるコスト削減や生産性の向上など、短期的に多くのメリットをもたらします。

6. コマース機能

あらゆるデジタルサービスを市民に提供するには、オンライン決済ができる機能が必要です。つまり、コマースソリューションを統合することにより、プラットフォームに付加価値をもたらすことができます。こうしたコマースソリューションには、イベントチケットの発行、公共料金の自動支払い、各種サービスや罰金の支払いなどの機能が含まれます。コマース機能を最新化することで、間接費を削減できると同時に、市民や企業のエクスペリエンスの向上にもつながります。

 7. 大規模で行うパーソナライゼーション

パーソナライズされたエクスペリエンスという点において、公共部門は、民間企業に大幅な後れをとっています。しかし、ターゲットオーディエンスに関わらず、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供することにより、プラットフォームを通じて、より関連性や価値のある情報をオーディエンスにもたらすことができます。つまり、公共部門の成長を促すのに必要なだけでなく、ユーザーの期待にも応えられるエクスペリエンスを提供できるということです。

上記はすべて、ユーザーの各セグメントごとにエクスペリエンスをパーソナライズすることで実現できます。多くの場合、ユーザーは、情報が多すぎたり、一貫していない場合それぞれ興味のあるコンテンツを確認します。具体的にいうと、市民であれば、特定サービスの案内、市役所職員であれば、使用可能なアプリケーション、サイト訪問者向けには閲覧履歴をもとにした類似コンテンツの提案、ユーザーが難しいと感じた際のフォームの入力サポートなどです。ユーザーの行動やフィードバックを把握し、それに合わせて適応していくことが非常に有用です。

8. 優れた統合機能

公共部門において、情報のサイロ化を解消するために欠かせない方法は、統合です。統合しやすい柔軟性のあるプラットフォームには、既存のITエコシステムに新しいシステムを接続する機能があります。この機能は、最新のエクスペリエンスを構築する上で非常に重要で、これによりデータとサービスすべてを共通のポータルに取り込み、優れたユーザーエクスペリエンスを提供します。

実際に、政府機関では、IT支出のうち80%もレガシーシステムの運用と維持に費やしているため、深刻な課題となっています。かと言って、すぐにリプレイスできるものではないですが、このままではユーザーが求めているエクスペリエンスを提供できません。

また、データが断片的で不完全な状況においても、新旧システムの統合が重要です。現に、51%の市民は、統合されたポータルがあれば、政府サービスの利用回数が増えるだろうと回答しています。
完全に統合されたIT環境があれば、これまで足かせとなっていたレガシーシステム上に最新のシステムを構築することが可能になります。

9. コスト削減とイノベーションの促進を同時に実現するクラウド

83%もの公共サービス機関のリーダーたちは、イノベーションと新しいビジネスモデルを推進するにはクラウドが不可欠であることに同意、または強く同意しています。この不測の時代において必須なのは、①コストを最適化すること、②成果を重視すること、③レジリエンスを育成すること、④柔軟性を備えることの4つです。クラウド環境には、公共機関と市民の双方にイノベーションをもたらす大きなメリットがあります。

クラウドソリューションを採用することで、オンプレミスのアプリケーションを維持するためのハードウェアや人件費を削減できるため、インフラストラクチャーにかかる費用を節約できます。そのため、その分のリソースを解放し、付加価値を提供するだけでなく、市民が希望し必要としている革新的なデジタルソリューションに投資できるようになります。さらにITチームへの要望も減少するため、ITチームは、より多くの価値を提供し、新規ソリューションの市場投入までの期間を短縮することに専念できます。

このため、結果的に市民の期待に応え、ニーズに合ったサービスを提供することができるようになります。

つまり、クラウドへの移行は①市民価値の向上②新規サービスの短期間での市場投入③リソースの節約という3つの目的において進められます。

公共部門は、クラウド移行に後れをとってはいますが、ガートナー社による調査では、2023年には62%もの政府機関がクラウドプラットフォームに投資しているということがわかっています。

10. 改善に向けた監視のための分析

ユーザーエクスペリエンスを向上させつつ、コストを削減するには、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供することが、公共部門における最優先事項です。

このようなパーソナライズされたエクスペリエンスをデザインし最適化するためには、ナビゲーションパス、フォーム入力、プロセスの完了など、サイトのアクティビティ監視を通じて収集したユーザー情報が必要です。さらに、Liferay DXPに備わっているような堅牢なアナリティクスプラットフォームから入手できる情報が追加されます。こうした情報により、サイト、ページ、アセットレベルで包括的なアナリティクスを表示します。これにより、データポイントを追加できるため、既知ユーザーか匿名ユーザーかにかかわらず、ユーザーをセグメント化し、ユーザーのエクスペリエンスをパーソナライズすることができます。

  
 

 

さいごに

 

今日の行政は、デジタルトランスフォーメーションに向けて、しっかりとした技術戦略を整備するという大きな責任を負っています。成功させるには、既存のレガシー技術スタックや職員のナレッジも活用しながら、市民、企業、公務員の日常生活を変革できる技術パートナーが必要です。さらに、理想としては、継続的に安定した段階的変革をもたらし、サポートできるパートナーを選択すべきです。

弊社製品であるLiferay DXPで、公共部門の技術基盤を構築する方法について、詳細は下記までお問い合わせください。
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