デジタルトランスフォーメーションdx
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B2Bマーケティング統括部長が語る2022年のデジタルトランスフォーメーションの予測

2022年にマーケターが知っておくべきこととは?

マーケターは変化に精通しています。マーケターは、常に消費者の好み・テクノロジー・市場の変化が盛んな世界で活動してきました。このコロナ禍の2年間は特にそうで、マーケターの担当領域の多くに破壊的変化が起きました。
しかし、このような変化は止まることを知りません。今後マーケターに影響を与えるであろういくつかの大きなトレンドがあると予見しています。

そこで、ライフレイのマーケティング統括部長であり、フォレスターの元アナリストでもあるジョナサン・タム氏(以下タム氏)に、2022年以降のマーケティングの成功に最も重要なデジタルトランスフォーメーションのトレンドは何かについて、考えを伺いました。  

ノイズ(ありふれた情報)をカットする

コロナ禍の今、世界の企業の46% 以上が、顧客サービスを継続するためのデジタル成熟度を高めようとしており、競争の中で優位に立つことが比較的難しくなってきています。
タム氏は次のように語ります。

「私達がデジタルに移行して以来、コンテンツ、広告、ウェビナーなどのノイズが増えています。今の時代、人は一日何百通もの電子メールを受け取るため、よく練られたメールが受信箱に届いていたとしても、それを探し出す気にはなれないでしょう。それは大量の干し草の中から針を探すようなものだからです」

デジタルに移行することが必ずしも強力なデジタル適応力を持つこととイコールであるとは限りません。特に、他の企業も同じようにデジタル上で顧客の注目を集めようとしている場合はなおさらです。

だからこそ、2022年のマーケターには、デジタルトランスフォーメーションの成功が不可欠なのです。ただデジタルに移行するだけでは不十分で、そこでの体験が優れたものでなければなりません。

ここでは、B2Bマーケティング戦略担当でもあるタム氏が考える、2022年に最も顕著になり得る3つの大きなデジタルトランスフォーメーションのトレンドをご紹介します。

デジタルと対面、どちらか一方だけでは不十分

タム氏は次のように語ります。

「世界がよりオープンになっても、デジタルがなくなることはありません。むしろ、対面とデジタルの両方で優れた体験を提供することが、企業に求められているのです。どちらか一方だけに注力すれば良いということは決してありません」またこのように続けます。

「顧客は、今後コロナ禍が終焉を迎え、対面で直接話をすることが安全な状態に戻っても、オンラインでのやり取りを望むようになるでしょう。オンラインを求める層は常に存在するのです。特に、企業がハイブリッドワークを評価し、個人がリモートワークを継続したいと考えるようになれば、なおさらです」

マーケターはこのトレンドを利用して、デジタルサービスをただ充実させるだけでなく、対面での優れた体験も考慮したカスタマージャーニーを考える必要があります。
 

しかし、2020年に実施された調査によると、オフラインとオンラインのすべてのタッチポイントでシームレスな体験ができていると回答したのは、回答者のわずか9% に過ぎませんでした。

真のオムニチャネル体験を提供するためには、企業はシステムの連携に投資することで、異なるシステムやアプリケーションを単一のソリューション上に統合する必要があります。 

スコット・ブリンカー氏のMartech 5000によると、マーケティングテクノロジー関連のソリューションは2020年時点でも既に8,000を超えると言われています。さらにサポートチームやIT部門、営業担当者など、会社全体を巻き込んで管理・維持しなければならないアプリケーションを含めると、この数がどれほど大きくなるのでしょうか。

より良いデータでより良いパーソナライゼーションを

顧客に届く大量のメッセージの中から、自分のメッセージを見つけ出してもらうための最も直接的な方法は、パーソナライゼーションです。しかし、これは難しくもあります。特に、他の多くの企業も同様に顧客の注目を集めようとしている中ではなおさらです。

パーソナライゼーションは決して新しい手法ではありませんが、多くの企業がいまだに効果的に利用できずにいるのが現状です。顧客と関連性が薄い情報を提供してしまったり、パーソナライゼーションを利用することでかえって押し付けがましい印象を与えてしまう企業もあるようです。
NTTが実施した2020年の調査によると、回答した企業の86.5%がパーソナライゼーションを行っていないか、部分的にしか行っていないという結果が出ています。 これらの企業に欠けているものは何でしょうか?高度なツールでしょうか?社員でしょうか?

タム氏は、顧客関連のデータが不足していることが根本的な原因だと考えています。
 
「パーソナライゼーションを成功させるために重要なのは、顧客とのさまざまなタッチポイントやチャネルからデータを収集し、整理する能力です。それなしでは、顧客の全体像を把握することはできません。現在、多くの技術スタックは、各部門やチームが独自の技術やアプリケーションを使用しているため、サイロ化された状態で構築されています。それにより、データがいたるところで保管され、顧客理解を深めるために利用することができていません」とタム氏は言います。


マーケターとして顧客のデジタル・エクスペリエンスを向上させたいのであれば、サイロ化を解消してデータを一箇所に集め、顧客の全体像を構築するためのシステム連携に投資する必要があるでしょう。